上越市には3つの明治建築(公共商業建築)が残っている
直江津銀行(M39) 高田師団長官舎(M41) 高田世界館(M44)
「関東大震災、太平洋戦争による被害等で、めぼしい都市の建築が集中的に消失破壊されて
しまった今日、現存している明治建築の史的価値はおしなべて大きい」と日本建築学会は指摘し、明治建築の現存調査を開始した(昭和30年代後半)。この結果は昭和45年日本建築学会編の全国明治洋風建築リストとして発表され、新潟県からは新潟市7棟、上越市7棟、新発田市4棟、佐渡市4棟、その他7棟の合計29棟が記載された。
このリストに記載された上越市内の明治建築は次の通りである。
1)直江津銀行 (高橋回漕店) M25(現 存)
2)高田師団司令部(新潟大学高田分校)M41
3)高田師団長官舎(自衛隊宿舎) M41(移築復元)
4)いかや旅館 M41
5)高田師団階行社(高田市役所分館) M43
6)大手町小学校 M43
7)劇場高田座 (高田世界館) M44(現 存)
8)高田市役所 T3
注)このリストでは建築年はM25頃と記載されたが、M39説を採る。
注)このリストでは劇場高田座は未掲載。
しかし「高田は軍関係の建物、写真館、旅館など優れた多くの木造西洋館のある街であったが、今では移設された師団長官舎1棟のみとなった」(明田川敏夫著、新潟県の近代建築、平成6年、北陸建設共済会)と指摘されたように、これら建物の内5棟が滅失しわずか3棟が現存するのみである。新潟・新発田・佐渡市において、3市合計で5棟が滅失し10棟が現存することを比較すると、上越市において明治建築が最も多く滅失したと言える。
建築家安藤忠雄氏が、現存する明治期和洋折衷建築の全部保存を提唱する(H21年2月、第13回菜の花忌シンポジウムにて)等、その歴史的文化的評価は高まる一方であり、すべての明治建築が築百年を超える2011年(大正百年)、明治建築の歴史的価値の認識と保存活用が求められている。
平成23年1月3日(HP開設)
直江津銀行とライオン像の保存活用を支援する会